『ウテナ』でおなじみの合唱曲もふんだんに使用された、豪華な舞台に

 『少女革命ウテナ』の劇中で、デュエリストたちの決闘を彩っていた不思議な合唱曲。
 その作者であるJ・A・シーザー氏の率いる演劇実験室◎万有引力の第32回公演が、
 東京大田区民ホール・アプリコ大ホールで、1999年12月3日から5日まで行われた。
 公演の千秋楽となった5日には
 幾原監督も会場を訪れて公演を
 楽しんでいた。       
 
 終演後の楽屋にて(写真上)
 幾原監督とJシーザー氏
 J.Aシーザー氏は、1960年代後半から寺山修司氏の主宰する演劇実験室◎天井桟敷で音楽を担当。後には舞台の演出も手がけるようになり、寺山氏の没後は自身で演劇実験室◎万有引力を率いて、公演活動を続けている。天井桟敷時代からシーザー氏の音楽に惹かれていた幾原監督が、たっての願いで『少女革命ウテナ』の決闘曲として使用したため、シーザー氏の名は演劇ファンだけでなくアニメファンにも広く知られるようになったのである。

 今回の第32回公演は、<錬金ギュヌス発明劇◎未来のイヴ◎人間装置「中世」その硝子の揺籠に>と題されている。19世紀フランスの作家ヴィリエ・ド・リラダンの風刺小説『未来のイヴ』を原作に、発明王エディソンと彼が生み出した人造人間の美女アダリー、そしてエディソンの恩人エワルド卿のあいだに引き起こされる、幻想的なドラマが描かれている。登場人物から機関銃のように繰り出される哲学的なセリフに唸り、2段に組まれた舞台装置だけでなく客席通路まで使って立体的に展開される群舞に圧倒される、非常に密度の濃い舞台となっていた。


終演後の舞台の上で。
不気味な舞台装置と幾原監督
 万有引力の舞台の最大の見せ場といえば、Jシーザー氏の手になる合唱曲の数々である。だが今回の「未来のイヴ」で披露された合唱曲は、<ミッシング・リンク><バーチャルスター発生学><甦れ!無窮の歴史「中世」よ>など、全17曲のうちの大半が『少女革命ウテナ』のTVや映画で使用されたものであった。

 『ウテナ』で使用された合唱曲自体、その多くが万有引力の舞台から転用されたものだが、「未来のイヴ」ではそれらの曲をシーザー氏自身がふたたび舞台空間の上で再構成しているのである。このようなスタイルを取っていたため、今回の公演は万有引力の舞台を初めて見るアニメファンにとっても、非常に親しみやすいものとなっていたのではないだろうか。


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 左から、
 一ノ瀬めぐみさん(月蝕歌劇団)
 巫女乃水穂さん(万有引力)
 新月シホさん(月蝕歌劇団)
 
 
 公演の千秋楽となった5日には、幾原監督も会場を訪れて、公演を楽しんでいた。また、シーザー氏とも親交の深い高取英氏や、高取氏が主催する月蝕歌劇団の面々も会場を訪れており、その中には月蝕歌劇団の舞台版『少女革命ウテナ』で天上ウテナ役を演じた一ノ瀬めぐみ嬢の姿も見受けられた。

 

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report & photo ITO SEINOSUKE
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