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読者の皆さま、先月はご心配、ご迷惑お掛けしました。
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2001, August. BE-PAPAS !!
幾原様
先月は日記を書くことが出来ずにごめんなさい。ご心配かけました。
今はもう、だいぶ楽になったのですが、実は先月の頭に具合を悪くしてしまったのでした。
少しずつよくなっていますから、心配はしないでね。
まったく、身体が資本であるこの仕事を長年続けてきたというのに、情けないことです。
きちんと治して、元気になったらまたお目にかかりましょう。
LA.の夏はいかがですか? 楽しむ暇もないほど忙しくしているのでしょうか?
夢に向かって飛び出していった幾原さんは、本当にすごいバイタリティ。
その行動力には憧れすら感じます。
新たな事への挑戦には、きっと言葉に表せないほど苦しいことが沢山あるのでしょう。
失敗も成功も、努力を重ねて進歩する人間には常につきまとうものです。
失敗もせず、見た目だけは無難に生きていくことは、
新しい挑戦をやめて自分の可能性を遮断してしまうことに他なりませんもの。
言葉の壁、習慣の違い、そして数え切れない障害を乗り越えて、もうすぐ半年近くが経とうとしています。
日本で相変わらずの日々を過ごす私には、想像もつきません。
ただでさえ人一倍努力家の幾原さんは、
ストレスを感じる暇もないほどに動き回っていらっしゃるのでしょうね。
それはとても素晴らしいことですが、時々心配になります。
人間、時には休養も必要です。身体だけは大切にしてくださいね。
今までの日記を振り返ってみたら、なんと一年九ヶ月も続いていました。
すごい。三日坊主の私には、これは今までにない快挙です。
毎日のようにキーボードを叩いていたおかげでパソコンにもすっかり慣れ、なんだか得した気持です。
一日にあった出来事を報告する相手がいて、そして返事が返ってくるというのは
こんなにも嬉しいものだったのかと、自分でもびっくりしています。
これは貴重な体験でした。
一年九ヶ月分の思い出は、どれも新鮮で、楽しいことばかりでした。
突然T平さんと三人で押し掛けた、万有引力の暗黒餅つき忘年会。
新年早々のY2K騒動。象の花子を見に連れて行ってもらったこと、
その井の頭公園での、Be-papasお花見会。
やり甲斐のあったシェルブリットのレコーディング、物議を醸したジャケット撮影。
一緒に冒険した気持を味わえた、アヌシー映画祭の熱狂レポート。
極めつけの東京キャラクターショー。そして「レミング」観劇中に初めて見た、監督の涙・・・
短い間に、なんとたくさんの出来事が目白押しだったことでしょう!
毎日はなんてワクワクすることの連続なのでしょう!
そして今は何と、海の向こうからハリウッドの日常が送られてくる。
本当に一瞬たりとも留まらない、ドラマチックな人生を送っていらっしゃるのですから、羨ましい。
幾原さんの冒険の数々を一緒に体験できたような、本当に楽しい交換日記でした。
そして幾原さんの意外な一面を時々発見して、感慨深い気持になることもしばしばでした。
幾原さんがリーダーを勤めた創作集団ビーパパスのネーミング。
はじめて伺ったときには奇妙に意味深な名前だなあ、くらいに思っていただけでしたが、
最近、幾原さんは「父親」の資質をとても強く持っていらっしゃることに気がつきました。
「お父さん」に向いていると言ってもいい。
それは「ウテナ」という特別な娘に対してのものだからかもしれないけれど。
ウテナがこうして世界に羽ばたいていったのも、幾原さんが自分の全てをかけて慈しみ、
父親のように愛情深く育てていったから。
そして、父親に愛された娘というものは、それはそれは愛くるしく美しく成長し、
世界に向かって特別な光を放つものだから。
幾原さんがどういう決心でこのネーミングを決めたのかは知る由もありませんが、
素晴らしいお父さんになられている気がします。
今までの日記を読み返してみました。
私の文章は意図的にではあるけれどもずいぶんとくだけた話題ばかりで、
せっかくの貴公子ぶりをコミカルな日常に持っていってしまいましたね。
イメージを壊しちゃってごめんなさい。
今あらためて読み返すと、子供っぽい自分の文体には少々恥ずかしささえ憶えます。
私はもう少しレディにならなくてはね。
自分の理想にもっともっと近づいて行かなくてはね。
゛BE-MAMAS! ゛
もっと心がふくよかで、つつみこむような女性に、これからはなりたいものですね。
子供番組を2年半つとめて、私の中にも変化が生まれつつあるようです。
私はこれから先、自分の生み出す作品の母親になれるでしょうか。
それとも本当の母になる機会が来るでしょうか。
宇宙へも行きたいし、レディにもなりたい。世界中を旅行もしたい。
私が本当に欲しいものを探しに、外の世界へ飛び出したい。
・・・21世紀はまだ始まったばかり。ゆっくり考えればいいことですね。
そういえば、幾原さんが出発前にふと呟いていたこと。
「アメリカで、もう一度絵を描くかもしれない」
憶えていらっしゃいますか?
忙しくて忘れてしまいましたか?
私はそれを聞いた時、ぜひ描いて欲しいものだと思いました。
忙しい日々の中で何かひとつ、好きなことを楽しむ余裕も必要なのではないでしょうか。
私もそうですが、今までの趣味は全て仕事になってしまいましたから、
ふと自分を取り戻したいとき、仕事以外の楽しみがあればいいのにと思うことが時々あります。
お節介でしょうか?
いえ、絵ではなくても構わないんです。
せっかくカリフォルニアなんて素敵なところにいらっしゃるんですもの、思い切り楽しんで、
自分のためだけに使う贅沢な時間を作ったらいいと思ったのです。
今までが忙しすぎでしたものね。
私自身も忙しすぎでした。
忙しさにかまけて、日々を追われるように過ごしていました。
もちろんその中で目標も志もあったのですが、仕事の上の成功であったり、
自分自身のスキルの向上というところに重点が置かれていたように思います。
日記を書きながら、いつの間にか世紀が変わっていたことに気がつきました。
子供の頃から憧れていた21世紀に、いつの間にか暮らしているのでした。
もうすでに未来の中にいる、という事実に、とても驚いています。
そしてこれからは、現実になった未来を生きていくのだという気がします。
夢見た未来にたどり着いた私は、夢見た自分になれたでしょうか?
・・・残念ながら、まだまだ。相変わらず夢ばっかり見ていて、ちょっと心配になってきました。
私は未来にいます。夢をつくるつもりでいます。
ひとりでつくる夢も、みんなでつくる夢も、たくさん欲張って完成させていきたい。
幾原さんの夢はどんな夢でしょうか?
もしもみんなでつくる大きな夢の計画があるならば、私もぜひ、お手伝いさせてくださいね。
誰も見たことのない、やったことのない不思議な夢をつくる大冒険に参加させてくださいね。
どんな困難も苦しみも、胸にともる憧れの灯を消すことは出来ません。
ひとつひとつの灯は小さくても、共に輝けば暗闇を照らす星のように、
鮮やかな光を放つことが出来るのではないでしょうか。
困難なことに負けないでくださいね。夢を描く同志が大勢いることを忘れないでくださいね。
独りではないことを憶えていてくださいね。
さあ、何だか書きすぎてしまいました。
お互いにきっと、明日も忙しいに違いありません。
この辺でベッドへ入りましょう。
次にお会いしたときには、美味しいものでも食べながら、尽きせぬお喋りに花を咲かせましょう。
心躍る冒険のお話を、楽しみに待っていますから。
ありがとう、幾原さん。
またね。
MARIA as 川村万梨阿より。
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September 2001. World Wide IKUNI-MARIA !
万梨阿様
早いものでもう9月です。
今日は友人とMelroseに行きました。Melroseはハリウッドの上にある
若者向けの歓楽街です。僕のアパートから、フリーウェイを使って、
20分ぐらいの場所。そこには安くてカッコいい服が沢山あるのです。
先日、購入した、新しいLowliseパンツに似合うTシャツが欲しかった
のです。
買い物の後に、メキシコレストランでディナー。路上のテラスから、
夕暮れの道行く人々を眺めていると、少しばかり感傷的な気分にな
りました。
去年、数多くの国を訪れました。が、今自分がここにいるのは旅行ではありません。改めて自分が、異国で暮らしている、いや、暮らせている事実に驚いています。しかも、運転免許さえ、この国で所得し、日本ではかつて所有したことが無い、自家用車まで手に入れ…。
10年前の自分には、そんな未来は想像の範囲外でした。
人生、何が起こるか判らないです。
ああ、単なる「外国で暮らせていいでしょう」の自慢話に終始してゴメン。
万梨阿様、この次は、そちらがヨーロッパの何処から送信してみるのは如何でしょう。イクニマリアWORLD WIDEです。楽しそうでしょ?
ではまたね。
幾原
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というわけで、突然最終回を迎えることとなりました。
長いようで短い間、読者の皆さまには大変お世話になりました。
諸般の事情により、「イクニマリア」は今回で一区切りさせていただきます。そしてまた新たなる展開に備え、しばしのお別れを。<管理人.>
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