2002年11月30日と12月1日の2日間に渡り、杉並区のセシオン杉並で「アニメーションフェスティバル2002 in 杉並」が開催されました。

東京・杉並区は、日本にあるアニメーション制作スタジオのじつに4分の1近くが集中する地域です。そのため杉並区や東京商工会議所杉並支部では、アニメーションを産業として盛り上げていくための各種施策に取り組んでいます。この一環として昨年より、「アニメーションフェスティバル」と題するイベントを開催しています。

 第2回目となる今回は、アニメ作品の上映会や大地丙太郎監督、佐藤竜雄監督などによるトークショーが行われました。また、作画や背景美術といったアニメ制作過程の実演や機材の展示、杉並区在住のアニメスタジオ各社によるブース出展なども見ることができました。会場のセシオン杉並には、親子連れを中心とした多くの人たちが訪れており、住宅街でもある杉並区らしい、アットホームな雰囲気のイベントとなっていました。

さて、このイベントの1日目である11月30日には、「アニメーション技術の伝承と保存」と題されたシンポジウムが行われました。このシンポジウムの議題には、アニメ業界関係者や学術研究者などからなる「杉並産学連携会議」による、ある提言が深く関わっています。ここでまず、その提言について簡単にご説明しましょう。日本のアニメーションが文化としても産業としても世界から大きく注目を集める中で、過去のアニメ作品や制作関連資料などを体系的に収集・保存し、希望者が閲覧できるような公的施設は、現状では存在していません。日本のアニメ文化を継承・発展させるために必要不可欠な、こうしたアーカイブ施設を杉並の地に設立すべきだ、というのが2002年6月にまとめられた「アニメーションアーカイブに関する提言」なのです。

 
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今回開催されたシンポジウムは、この「アニメーション・アーカイブに関する提言」を受けて、日本のアニメ作品やその制作技術をどう保存・伝承していくかについて、実際に制作現場で働いているクリエイターたちが自ら語り合うというものです。東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授の浜野保樹氏の進行のもと、(株)プロダクションIG代表取締役の石川光久氏、株式会社IMAGICA映画本部兼テレビ本部部長の秋山雅和氏、そして幾原邦彦の3名が出席しました。

  このようなメンバーだけに話題は幅広く、なかでも日本アニメが世界市場、特に現在のハリウッドでどのように受け入れられているかという点については、実際に世界市場を対象としたビジネスを行っている石川氏と、ロサンゼルス留学で現地の状況を直接体験した幾原監督から、かなり詳しい報告が行われていました。またIMAGICAの秋山部長からは、大半がすでにデジタルへと移行している日本アニメのポスト・プロダクションの現状が報告されました。このように日本のアニメを取り巻く状況が以前に比べて大きく変化している状況の中で、日本のアニメーション技術とそれを担う「人」を継承していく場の必要性を訴えて、シンポジウムは幕を閉じました。

  シンポジウムの議題として掲げられたテーマからは、やや堅苦しいイメージが感じられたかもしれませんが、実際の内容は業界関係者だけでなく、一般のアニメファンにも楽しめる、非常に興味深いものでした。

最後に、当日の取材とリポートの掲載にご協力いただいた「アニメーションフェスティバル2002 in 杉並」実行委員会の皆様に、厚くお礼申し上げます。
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                                     取材&テキスト:伊藤誠之介