2003/04/29 あすに残そう  小絵馬

けさは明治、大正のころ人々が願いを込めて神社に奉納した小さな絵馬、「小絵馬」をご紹介します。
    
大きさはどれくらいですか?
 
ハガキほどの大きさです。
松や杉の板に動物やヒトの姿が描かれています。

平石さん、絵馬と聞いてなにか気づくことはありませんか?

絵馬なのに願い事が書かれていませんね。

小絵馬にはほとんど文字が書かれていません。
当時の人々は文字を書かずに「絵」に願い事を託し、神社に奉納したんです。
明治、大正時代の徳島の小絵馬、29点が、徳島市の県郷土文化会館に保管されています。                                           
    
絵馬には小絵馬と大絵馬と呼ばれるものがあります。

徳島市八多町の五王神社にある大絵馬です。

大絵馬は豊かな商人たちが富を誇示するため名のある絵師に描かせたものです。
美術的な価値が高い大絵馬は県内でも多くの神社などに残っています。

大絵馬に対し、小絵馬は庶民がささやかな願いを込めて神社に奉納したもので古いものはほとんど残っていません。


関東の絵馬は「山型」といわれる上部がとがった形をしています。
徳島ではほとんどの絵馬が長方形でハガキほどの大きさでした。
どの絵馬も画面全体に白い、泥絵の具を塗り、黒の縁取りをしています。

中の図柄は民間の絵馬師が手慣れた筆さばきで書き上げたものです。


可愛らしいサルの動きがのびのびと巧みに表現されています。
サルが持っているのは「桃」です。
「桃」は熟すと半分に割れることから子授けの意味があるとされ
「子授け祈願」の絵馬には桃を持つサルが描かれました。

ナマズは皮膚病が治ることを願って描かれました。
どんな病も飲み込んで欲しいという人々の願いが大きく描かれたこのナマズの口に表れています。


日峰神社にはカニが神の使いであるという伝承があります。
かつて小松島では海から上がってきたカニが農作物に被害を与えていました。
地元の人たちは日峰神社の祭礼をおろそかにしたために神の怒りにふれたと考えました。
そこで祭りを盛大に行ったところ、カニの被害はぴたりと治まりました。
それ以来、カニが神の使いとして崇められるようになったと言われています。
今でも日峰神社の絵馬にはカニが描かれています。
どんな願い事にもカニの絵馬が使われます。
大きな甲羅、突き出した目愛嬌ある姿をした「神の使い」です。

2匹のカニが描かれた絵馬は夫婦か恋人同士の男女が奉納したものだろうと考えられます。

6枚の絵馬がどれも同じ構図で描かれています。     
「拝みの絵馬」といわれています。左に描かれているのは神社の拝殿です。
長袖の着物を着て蛇の目髷の子どもが合掌しています。

この絵馬は母親がわが子の健やかな成長を願って奉納した絵馬のようです。
若い女性が拝んでいます。
良縁に恵まれるよう願った絵馬かもしれません。
時代が変わっても神に向かって手を合わせる姿はかわりません。
拝みの絵馬には当時の人々の日常の姿がとどめられています。

一枚の絵馬に託された人々の悩みや苦しみ、そして夢。
素朴な絵馬から当時の人々の息吹を感じずにはいられません。


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