2003/01/28 ふるさとの宝物 (35) 木頭・太布織(きとう・たふおり)

台本けさは、那賀郡木頭村の伝統技法、太布織(たふおり)をご紹介します。
太布織は、こうぞなどの木の皮を原料に作られた布のことで日本でもっとも古い織物のひとつです。
太古の布ともよばれる木頭村の太布織は県の無形民俗文化財に指定されている伝統の技です。

太布織は全国でも木頭村にだけに伝わる伝統の技です。
太古の昔、阿波では服地や日用品の原料として太布が使われました。
木綿や麻、生糸などが伝来する遥か昔のことです。
( インタビュー)

阿波太布製造技法 保存伝承会会長 中川 清さん 73 

 近代織物からすれば粗いが・・・

那賀郡木頭村。
今は朝晩の冷え込みがもっとも厳しい季節です。

山里では、原料となるカジノキ(穀の木)の刈り取りが行われます。
こうぞの一種、カジノキは一年で3、4メートルにまで成長します。

朝8時、気温はまだ氷点下です。

 なんでこの季節に収穫を?
 木が完熟していて皮が硬いから

太布となるのは黒い表皮の裏に見える、白いこの繊維です。

収穫されたカジは、釜で3時間蒸されます。
こうすることで皮が、はぎやすくなります。

強い火力で一気に蒸しあげます。

蒸しあがると今度は灰汁で煮たあと、よく揉んで柔らかくします。

さらに籾殻をまぶして足で踏み、鬼皮とよばれる黒い表皮をはがします。

これを谷川でさらし、軒先で乾燥させます。

手を切るほど冷たく澄み切った水がアクやよごれを取り除き、繊維は、一層その白さを増すのです。

阿波の太布の歴史は古く、その名は日本書紀にも登場します。
場面は天照大神の岩戸隠れの段。
天照大神を誘い出すため阿波に住む忌部族の祖、「天日鷲(あまひのわし)」が作ったユウの布を岩戸にかけ、祝詞(のりと)をささげたと記されています。
この「ユウ」とはカジの繊維で織った布、太布を指します。
このことから阿波の太布は神聖なものとして、代々の天皇即位の神事に用いられ全国にその名を知られていました。

剣山周辺の村では江戸時代までの一千年あまり、多くの太布が生産されていました。
しかし明治時代、紡績の発達で綿織物が出回るようになると太布の製造は激減、衰退の一途をたどります。

1984年、滅び行く村の伝統を守ろうと有志による保存会が結成されました。        
会員は16名、地元の主婦によるボランティアです。
会員たちは毎週一度、ここに集まり太布織の技術を磨いています。
時代の急速な流れのなか、切れかけた伝統の細い糸はふたたび太く、強く現代に結ばれたのです。

いよいよ最終工程の 機織です。
太布の機織機は地機(ぢばた)とよばれ椅子に座るのではなく、足を投げ出して操作する独特のものです。
このためはたおり機も斜めに倒れた形をしています。
経糸(たていと)の一方は織り手の腰に固定され、糸の張り具合は、体の動きで調整します。

かつて剣山周辺の村々で厳しい冬のくらしの一部だった太布織は、受け継ぐ人の手によって新しい命を吹き込まれ、現代に生まれ変わりました。

( インター 阿波太布製造技法 保存伝承会会長 中川 清さん)
 収益事業でなくボランティアで受け継いでいから、作業を続けていくのは難しいがなんとか継続してゆきたい     

日本でただひとつ、古代織物の伝統技法をとどめる木頭・太布織。
歴史と風土の糸が、あたたかさとやすらぎを織り成すふるさとの宝ものです。


四国放送テレビ 「太布を織る」1970年代から
県無形文化財技術保持者・岡田ヲチヨさん (1983年没)

2003/01/14(収穫、皮むきなど屋外作業 )
2003/01/20(糸づくり、機織作業)


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