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2002/11/12 ふるさとの宝物 (28) ナカガワノギク

「ハイビジョン撮影」。画像はクリックすると拡大できます。

けさは那賀川流域に自生する、ナカガワノギクをご紹介します。

ナカガワノギクは、世界でも徳島県の那賀川流域と日和佐川の一部にだけ自生し、唯一、川辺の岩場に生える野生の菊です。

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ナカガワノギクはキク科の多年草で、毎年9月末から12月初旬ごろ、直径3センチほどの白い花をつけます。
葉は、細く狭い形をしているため、ほかのノギクと見分けることができます。

 

自生するのは、世界でも徳島県南部の那賀川流域と日和佐川の一部だけ。
主に、日当たりのよい水辺の岩場で見られます。

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徳島県立博物館主任学芸員小川誠(植物学) 
ありふれたように見えるが
全国にここだけ
川に棲む菊は
ナカガワノギクだけ
那賀川の環境が
この菊を作り出した

全国で、白い花をつける野菊は4種類。

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ナカガワノギクのほか、関東甲信越から中国四国地方に広く分布するリュウノウギクや福井県や京都府のワカサハマギク、さらには愛媛県や九州の一部に自生するノジギクです。
これらはもともと共通の祖先をもつひとつの種でしたが生育する環境が異なるため次第に分化してゆき、長い年月をかけて固有の種を作りました。
なかでも徳島県のナカガワノギクだけが川の水辺に適応するよう独自の進化をとげたのです。

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ナカガワノギクが自生する岩場は、「 渓流帯 」 と呼ばれ雨で増水すると水につかる場所です。
那賀川は、昔からたびたびはんらんを起こす、暴れ川でした。
激しい流れは、岩場にあるあらゆるものを流し去ります。

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ナカガワノギクの細い流線型の葉は、水の抵抗を最小限に抑え、流されないためのものです。
また、根は深く長く伸び、岩の間に食い込んでいます。
水が引いたあと、岩場に残るのは、このナカガワノギクだけ。
「 自然の摂理 」という言葉だけでは言い表せない、生き残りのかかった戦略が、そこにはあったのです。
川の環境に適応するよう、自らの姿を変えていったナカガワノギク。
そのナカガワノギクに、いま、新たな変化が現れています。

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ナカガワノギクによく似ています。
実はこれは、ナカガワノギクが山麓にはえるシマカンギクと交配した雑種です。
水辺でみられた、狭く細い流線型の葉ではなく、幅の広い形に変化しています。

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左が水辺のもの、右が山ろくでみられるもの。
比べてみるとその違いがよくわかります。
川でくらすナカガワノギクは、雑種をつくりながらシマカンギクの遺伝子を取り込み今度は、陸地へと進出をはじめたのです。

県立博物館主任学芸員小川誠さん

生き物は全般的に機会があれば自分の子孫を広げようとする適応戦略を持っている。ナカガワノギクは最初に川に、次に陸上に広げようとする適応戦略を示すいい植物。危機をチャンスにかえる。生き物のしたたかさや生き様を私たちに示す植物だと思う。

激しい川の流れにも負けぬよう進化した細い葉と深い根。
そしていま、新たな繁殖の場をもとめ陸へとのぼりはじめたナカガワノギク。
その小さく可憐な姿のなかに大自然を生き抜く力を秘めた、ふるさとの宝ものです。

撮影日 11月4日


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