2002/10/08 ふるさとの宝物 (23) 阿南市橘町・けんかだんじり
阿南市橘町 けんかだんじり
けさは阿南市橘町のけんかだんじりをご紹介します。
10月1日に取材しました。
そしてふるさとの宝物は今回からハイビジョン撮影したものでお送りします。
けんかだんじりは、だんじりとよばれる山車同士が激しくぶつかりあってその強さを競うという、全国でも例の無い豪快なお祭りです。
けんかだんじりは毎年10月、海正八幡神社(かいしょうはちまんじんじゃ)の例大祭でおこなわれる行事です。
古くから航行する船の安全や、大漁を祈願してきただんじりをぶつけあうようになったのは、昭和30年ごろ、人間同士が祭りで喧嘩をしないよう、だんじりに代わりをさせたのがそのおこりだといわれています。
数ある祭りのなかでも、だんじり同士をぶつけ合う過激なものは全国でもほかに例がなく、いつのころからかけんかだんじりとよばれるようになりました。
阿南市橘湾。
古くから人々に豊かな幸をもたらしてきた恵みの海です。
年に1度、県南部のこの静かな漁村が興奮と熱気の渦に飲み込まれるのです。
今宵の主役、だんじりの準備も進んでいます。
これは、町の中央地区の住民が引く先組という だんじりです。
屋根から突き出た長い竹は、「やんだし」とよばれ、この橘でしか見られない独特の飾りです。
こちらは町の西地区、西組のだんじりです。
唐獅子を彫りこんであることから、獅子組ともよばれています。
ほかにも東組や中組など合計4つのだんじりが、意地と誇りを賭けたぶつかりあいを繰り広げます。
出発は午後7時、準備に余念はありません。
( 音 トリキリ ) インター
先組責任者 野口貴史26
これが一年の節目
岸和田より絶対上だ!
だんじりが通る、町の目抜き通りです。
ここは道幅が狭いうえ、電柱などの障害物も多いため、だんじり同士がすれ違うことはできません。
道の向こうに相手が見えた瞬間から勝負が始まります。
午後5時、女性だけのだんじりが繰り出しました。
女性もだんじりを引きたいという希望で、おととしから始まりました。
男衆が引くだんじりとは異なり、ぶつかることはせず、悠然と街中を練り歩きます。
そこへ前方からおとこ衆のだんじりがやってきました。
出発は午後7時のはずです。
( 音 トリキリ )
道ゆずれ
道の真ん中で立ち往生です。
( 音 トリキリ )
道をゆずったのは男のだんじりです。
けんかだんじりが始まる午後7時まで、通りはおなごの天下、口をはさむことはできないしきたりです。
賑わいをみせる漁村の秋祭り。
しかし少子化の影響で担い手となる若者やこどもは年々減少し、祭りの存続を危ぶむ声もあります。
昭和30年代、橘町でおよそ1000人近くいた小学生は現在160人。
40年前の2割にまで減りました。
午後7時、4台のだんじりが、いっせいに動き出し、戦いの火ぶたがきられました。
長さ6メートル、高さおよそ3メートルのだんじりが、全速力で突っ込みます。
こわい!
取材するほうも、冷や汗ものです。
だんじりは、「胴」といわれる先端同士をぶつけ合います。
数人がかりで横に引きながら、うまく当たるよう、軌道を修正します。
一歩間違えばだんじりの直撃をくらって大けがです。
けんかだんじりは、腕と度胸が試される、まさに男のまつりなのです。
手加減なしのぶつかり合いです。
もつんですか
もたせる
急いで、壊れた箇所をロープで補強します。
ぶつけては壊れ、修理してまたぶつけます。
死力を尽した壮絶なまでのぶつかりあい。
これこそが、けんかだんじりの真骨頂です。
そして午前零時。
祭りはフィナーレを迎えます。
町の西のはずれ、神社のお旅所めがけ、だんじりが全力疾走で突っ込むのです。
神社の手前は180度の急カーブちょうちんの明かりだけが頼りです。
町を興奮の渦に巻き込んだ4台のだんじりは次々と神社へと奉納され、この日の祭りはおわります。
東組神社総代
四宮 浩さん34
けんかしても 次の日は忘れて
町の誇りです
県南の一年を締めくくる、橘町けんかだんじり。
祭りにかけるひとびとの情熱を力の限りぶつけた、ふるさとの宝物です。撮影日2002年10月1日