2002/08/27ふるさとの宝物 (19) 一宇 雨乞い踊り
けさは美馬郡一宇村に伝わる雨乞い踊をご紹介します。
県の無形民俗文化財に指定されている一宇の雨乞い踊は、
150年の歴史をもつ、村の伝統行事です。一宇村ではその昔、日照りが続くと氏神様の庭で舞い、
水の神の水神や、雲を呼ぶ竜神に雨を乞いました。
天に届けとばかりうち鳴らされる豪壮な太鼓と
巨大な笠に願いを託しました。
剣山の北のふもと、貞光川の上流に位置する一宇村。
住宅や田畑はその殆どが険しく切り立った斜面にあります。
このため少しの日照りでも水不足となる村では、
神仏に雨を乞う行事が昔から行われてきました。
雨乞い踊りの起源は今から150年前だといわれています。
それを物語る貴重な資料が、村に残されていました。
幟です。長さはおよそ 7メートル、踊りの舞台で掲げられていたものです。描かれているのは 龍神です。
弘化5年の文字。いまから154年前の江戸時代、西暦1848年のことです。
しかしなかにはそれより古い時代であることを伺わせる資料もあり、
いつ始まったのか、詳しいことはわかっていません。
村では昭和47年から保存会を結成しこの伝統の踊りを守ってきました。
会のメンバーは 20名。
年齢も 30歳から88歳までと幅広く、職業もさまざまです。踊りを前に、一行が村を練り歩きます。
道太鼓と呼ばれる行進です。
これから雨乞いの神事が執り行われることをふれ歩くためのものです。
雨乞いは、村全体の祈祷であることから
かつては、各家から必ず誰かが参加することが義務づけられていました。
また、雨を乞うという意味から洗濯物を干すことは禁じられていました。
踊りの一行は、山の頂上を目指します。
雨を乞う、ひとびとの願いが早く天に届くよう、高い山の上で踊るのです。うち鳴らす鉦と太鼓が緑濃い山々に響きます。
宝珠寺(一宇村赤松)
村を見下ろす寺の境内、ここが舞台です。
まずは、道行きと呼ばれる入場の儀式です。幟を先頭に、鉦、太鼓、大きな笠が続きます。
百数十年の伝統の舞が、いま始まります。呼べ飛べ竜王よ
水賜れ 水神よ
ソリャ毛田じゃ
ソウ舞え ソウ舞え
水を司る神、水神に歌いかけます。
踊りの楽器や衣装には独特の意味があります。
豪壮な太鼓はとどろく雷鳴をあらわします。
鋭く響く鉦は、稲光です。
頭に載せた巨大な笠、これは風をまきおこす 龍のうちわです。
突然、踊りが早まります。
太鼓や笠も続きます。
太鼓の重さは25キロ。
また直径1.8メートルの笠は、20キロの重量が、頭と両手にのしかかります。
力と技、双方が相まって伝統の踊りは、最高潮を迎えます。一宇雨乞い踊保存会・会長 藤川馨治さん(66)
とにかく体をつかった重たいものでみんなにわかってもらおうということ。これからいつまでの間続くかわからないけど。これだけの人数を集めるのは難しいんですが、これからあとの世に習ってもらって村の宝物にしようと思います。村にはこれ以上のものはないと思います。
山村に、今も生きるいにしえの伝統 一宇 雨乞い踊。
天まで轟く太鼓の音に、村人の祈りをのせた、ふるさとの宝物です。「ふるさとの宝物・総集編」8月25日日曜日午後2時から1時間放送
さて、次回は
徳島市福島一丁目にあります
勢玉酒蔵をご紹介します。
明治時代の造り酒屋の建物を
コンサートホールやレストランとして
活用している、国の登録文化財です。