| 2005/01/18 「とりいれ」=はんぺん、あんぺい |
今週は「とりいれ」を取り上げます。
「はんぺん」のことを言いますが、エピソード、情報をお寄せ下さい。
遠藤
ただ、私は50年生きてきて「とりいれ」を初めて聞きました。
でもこんなホットラインをいただきました。
那賀郡那賀川町の村上さん、63歳の方から。
「とりいれ」
何の違和感もなしに使っています。
みなさんが知らなかったのが、むしろ不思議です。
全く知らない人と当たり前の様に使う人がいる、これはどうしてでしょうか?
仙波
「はんぺん」は、どちらかというと料理の脇役ですよね。
方言として話題になりにくかったのでしょう。
分布にかなりのムラがあります。
遠藤
徳島以外でも言われるんですか?
仙波
徳島県外のことはわかりませんが、県内で私が調べた結果は、こうなりました。
「とりいれ」が使われる範囲
それも西は阿波市・吉野川市、南は那賀川のあたりまでだと思われます。
阿波弁の研究者、高田先生によればその地域の中でも頻繁に使われるものではないとのことです。
佐久間
でも「とりいれ」と聞いて、食べ方といい、発音といい、「つみれ」と似ているなと思ったんですけれど関係ありませんか?
仙波
製造方法と関係があると思います。
「つみれ」は魚を「摘み入れる(つみいれる)」から「つみれ」なんですね。
同じように、「とりいれ」も魚を「とり入れる」から「とりいれ」なんではないかと推測できます。
「はんぺん」はお椀のフタに「とりいれ」て作っていたからだと思います。
宗我部
大阪でははんぺんのことを「あんぺい」と聞いたことがあります。
遠藤
徳島でも言いますね。
『大阪ことば辞典』
仙波
『大阪ことば辞典』という本には、「あんぺい」と「はんぺい」について記述がありました。
「あんぺい」は、「餡餅(あんべい)」と書く。
餡(あん)が入った餅に似ているために、「あんぺい」と呼ばれるようになった説が載っています。
また「はんぺん」についても、お椀のフタにすり身を入れることから「半分平ら」という意味になったという説が載っています。
佐久間
しかし、関東出身の私にとって、はんぺんというと、こういった四角形で分厚いものなんです。
何で白くて丸いモノがはんぺんになるのか今まで分かりませんでした。
仙波
これは関東のはんぺんです。
魚のすり身の他に山芋をすりおろしたものが入る場合もありますね。
お雑煮に、丸餅を入れるか角餅を入れるかの違いと関係がないかと考えたりします。
他にも色々な中身の「はんぺんが」全国にありそうですね
全国各地の「はんぺん」
そうなんです。
魚のすり身と野菜が入り、揚げたものは徳島では「天ぷら」と言いますが東京では「さつま揚げ」ですね。
また名古屋ではコレを「はんぺん」と言います。
また石川富山では徳島のはんぺんのことを「ふかし」と言うんですね。
作り方で、蒸かすからそう言うのだと思います。
また、静岡ではいわしのすり身で作るため、はんぺんが黒いんですか
仙波
このように練り製品は地域によって名前も作り方もバラバラだと言えます。
それではホットラインをご紹介しましょう
(徳島市・国府町女性)
83歳に母は、「はんぺん」のことを「とりいれ」と言っています。
この前に、母の代わりに、おすましを作ると「冷蔵庫にあった、とり
いれ 使ってくれたんやな」と言っていました。
(徳島市田宮出身・79歳女性)
昔から「とりいれ」と言います。
娘も今でも使います。
(板野郡上板町・65歳男性)
上板でも昔使っていました。
若い人たちはあまり使っていないようです。
(名東郡佐那河内村・74歳女性)
「はんぺん」のことを、子どもの頃「はんぺい」と言ったり、「とりいれ」と呼んでいました。
さて来週のテーマは、こちらも徳島ならではの練り製品を表す言葉、かまぼこを表す阿波弁「いたつけ」です。
仙波教授の阿波弁講座でした。
(鳴門市・65歳男性)
鳴門や板野の方面では「はんぺん」と言わず、「とりいれ」と呼ぶのが一般的だと思います。
「はんぺん」と聞いたとき、県外のことばだと思っていました。
(阿波市・旧土成町・39歳女性)
「はんぺん」のことを「つみれ」と言っていました。
お正月に「すまし汁」の中に入っていました。
(徳島市川内町・65歳女性)
「とりいれ」は、秋のお祭りの時に出すお汁には、必ず入れました。
「とりいれ」と言わずに「あんぺぇ」と言うこともありました。
(那賀郡那賀町・男性)
最近はあまり使いませんが、秋に稲を収獲するときに「とりいれ」と言います。