2004/10/06 「味覚を表す阿波弁」
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秋といえば、食欲の秋というわけで、今週は「味覚を表す阿波弁」を取り上げます。
脂っこいものを食べた時に「むつこいなあ」と言ったり、
「この芋、えぐいけん うまぁない」と言いますよね。
まず、「みずくさい」という意味がある「またい」です。
何をやっても、今ひとつで、どんくさい人に対して「あの人 またいなあ」という表現を聞いた記憶があります。
仙波
「またい」は、確かに人を表現する時に使う方が多いかも知れません。
相生や羽ノ浦のほかに、脇町や山城など県内広範囲の資料に出てきます。
「水臭い」という意味では、穴吹や上勝くらいです。
もともと「またい」というのはどんな意味がありますか?
仙波
もとの言葉は「全(またし)」。
欠点や傷がないということ
1)確実
2)まじめ
3)おとなしい
4)気が弱い
5)きびきびしない
確実から、確実な人は、「まじめ」、まじめな人は、「おとなしい」。
おとなしい人は「気が弱い」、気が弱い人は「きびきび しない」などとだんだんと悪い意味にかたよってきたようです。
もともとは、完璧という意味だったのに、捉え方によってこうも変わるのですね。
仙波
刺激がないということは、塩辛くない、酸っぱいこともないということで、何か物足りない、「みずくさい」という意味で使われるようになったと考えられます。
続いて、同じ「みずくさい」を意味する「みずい」です。
遠藤「私は聞いたことがないですね」
平石「山城でも聞いたことがありません」
仙波
「難しい」ことを「むずい」と言うように一見、若者の省略ことばのように聞こえますね。
県内どこでも使われているのですか?
仙波
それが、県内の資料には見つかりませんでした。
国立国語研究所が昭和30年から10年かけて調査した結果をまとめた「日本言語地図」を見ると、岐阜で5か所、京都北部で1か所、滋賀で2カ所でしか確認されていません。
徳島市内の人が使っているという情報をいただきましたが、県内どれだけの地域で使われているのかわかりません。
最後は、「塩辛い」という意味の「しおはい」です。
平石「私は知りませんでしたが、山城で使われている言葉ですって?」
仙波
資料では平石さんの出身地、三好郡山城町と私の出身地である美馬郡脇町にしか出てきませんでした。
「しおはい」の前が「しおはゆい」
「しおはゆい」の前は「しわはゆい」という形でした。
「しわ」は、くちびるやしわを意味します。
「はゆい」には「照り輝く」とか、「むずがゆい」という意味があるようですが、はっきりしたことはわかりません。
東日本では塩辛いことを「しょっぱい」と言いますが、これは「しおはゆい」が変化してできた語形だと思う。
東日本では「しょっぱい」
西日本では「からい」ときれいに分かれています。
ちなみに、「しおはい」は西日本のごく一部の地域で使われているようです。
今週は、「味覚を表す阿波弁」を取り上げました。
(神山町出身・57歳女性)
味がうすいことを「みずい」と言っていました。
(勝浦出身・74歳女性)
おかずの味付けをしているときに、「今日は またいなぁ」などと使っていました。
また、油っぽいものには、「むつごいなぁ」と言いました。
(板野郡・30歳女性)
「またい」というのは、「どんくさい」という意味だと思います。
(石井町)
昔、「しおはい」を使っていました。
(勝浦町出身・49歳女性)
「またい」は、「みずくさい」というより「どんくさい」という意味で使います。
小さい頃から感覚的に「どんくさい」と思っていました。
「みずくさい」の意味に使うと聞いてびっくりしました。
(美馬町・51歳女性)
「えぐい」というのを「いぐい」と使っています。
今でも使っています。
(阿南市・62歳男性)
味がうすいことは「みずくさい」と言います。
(三好郡井川町・69歳女性)
「しおはい」のことを「塩辛い」と言います。
味がうすいことを「みずくさい」と言います。
井川町の井の内地区
(徳島市・男性)
味がうすいことを「だすこい」と使っています。
(徳島市・56歳女性)
「またい」は、温和という意味だと思っていました。
「えぐい」は、阿波弁でないと思います。