
遠藤
勝浦郡上勝町が全国的に話題になっているのはご存知ですよね。
野田
ゴミゼロ運動への取り組みや葉っぱを料理のつまものとして出荷する「いろどり」事業など各地から視察に訪れる人が、あとを絶ちません。
宗我部
そして ここ10年程は、県外からIターンで移住してくる人が増えています。
上勝町の人口が毎年減っている中、彼らはなぜ県外からやってくるのでしょうか?

遠藤
去年 神奈川県から移り住んできた男性を取材しました。
(VTR)
藤田正さん65歳。
上勝町が実施しているワーキングホリデーで農村暮らしを体験したのがきっかけで去年4月神奈川県から移住しました。
山際にある木造2階建ての民家が、藤田さんの自宅です。
貯蓄と年金を資金に家と4000坪の敷地を手にいれましたが、すぐに住める状態ではありませんでした。
家の補修は自分でやりました。
抜け落ちるほど古くなった床をはがして新しく床を貼り、自己流でレンガを積んで暖炉も作りました。
本格的な大工仕事は初めてでしたが、急ぐ必要はありません。
1年かけて楽しみながら自分が暮らしやすい家に仕上げました。
藤田さんはかつて海の開発を手がける企業に勤め、平成元年からは独立して会社を興しました。
しかし時間に縛られる都会の生活に疑問をもち2人の子供が就職したあと単身でのIターンを決意しました。
藤田さんは、今年、家の前の田んぼを借りて米作りに挑戦しました。
農業は初めての経験でしたが、近所の方の指導のもとなんとか稲穂は実ったようです。
植えたのは普通の白米ではなく黒い古代米です。
藤田さん、収穫を待ちきれずに生で食べてしまいました。
2週間後の収穫が楽しみです。
藤田さんは、さらに新しいことにチャレンジしています。
家の近くの山の土地2000坪を買い茶畑にしようというのです。
しかし竹が密集して生えているため耕すのは大変。
借りたトラクターで奮闘の毎日です。
藤田さんの田舎暮らしを応援してくれる仲間ができました。
近所に住む前田光健(みつたけ)さんです。
前田さんのアドバイスで少しずつ畑に近づいてきました。
来年、お茶が収穫できるといいですね。
藤田さんが田舎暮らしで一番気に入っていること。
それは お風呂です。
汗水たらして働いた後は格別です。
お湯は薪で沸かします。
風呂桶は檜の1枚板を削ったもの。
もちろん 藤田さんの手作りです。
見かけによらずといったら失礼かもしれませんが、藤田さんは料理が得意。
これが田舎暮らしに 役立っています。
農業の先生 前田さんと無料でトラクターを貸してくれている岸さん夫婦を招いての食事会です。
月に2・3回振舞うというご馳走には、藤田さんの感謝の気持ちがこめられています。
地元の人の温かさに触れながら藤田さんは上勝での田舎暮らしを満喫しています。
(スタジオ)
野田
大自然の中で、色々なことに挑戦している藤田さん。
本当に楽しそうですね。
宗我部
つづいて もう一人紹介しましょう。
この春大学を卒業し、上勝のある会社に入社した東京出身の女性です。
(VTR)
勝浦川の上流にある月ケ谷温泉。
この建物の4階に葉っぱを料理のつまものとして出荷している町の第三セクター「いろどり」があります。
このオフィスに若い女性を見かけました。
今年4月に入社した上野あやさん23歳。
NPO法人の農村体験で、上勝での生活を送ったことがきっかけでした。
山道を登っていく1台のマイクロバス。
着いたのは ある農家でした。
この日の上野さんの仕事は、県外から「いろどり」の視察にきた人を案内することです。
農家にお邪魔して、いろどり事業の仕組みや、おばあちゃんの仕事ぶりなど丁寧に説明します。
上野さんの足元をみるとなんとスニーカーでした。
会社員とはいっても「いろどり」では、畑や山に入ることが少なくありません。
スニーカーは必需品です。
いまや全国的に注目されている「いろどり」では、年に数回「儲かる仕掛け」と題したセミナーを実施していて、全国の自治体の職員や企業家らが、大勢訪れています。
上野さんは、このセミナーの企画を担当しています。
上野さんの住まいは町営住宅。
家賃2万円ほどの1DKです。
大学までは、東京の実家から通っていた上野さん。
親元を離れての一人暮らしは初めてです。
毎日のようにかかってくるお母さんからの電話。
仕事や上勝のことをよく話すそうです。
上勝町では、来月開催されるおどる国文祭の準備が進められています。
上野さんが住む地区では、船の形のオブジェを作っていて休日には町民がボランティアでとりくんでいます。
ここに 作業を手伝っている上野さんの姿を見つけました。
上野さんはなるべく町の行事に参加するようにしています。
地元のいろいろなことを教えてくれる町の人は、上野さんにとって みんな先生です。
この日は、仲良くしている人の家にやってきました。
キミちゃんこと山田喜美子さんです。
仕事が休みのときは時々おじゃまして農作業などの手伝いをします。
上野さんはキミちゃんとのおしゃべりが大好きです。
生き生きした表情の上勝の人たち、町中がまるで家族のようだと上野さんはいいます。
温かい仲間に見守られながら上野さんは社会人1年目をスタートさせました。
(スタジオ)
野田
都会に行きたいという人が多い中、親元を離れて一人で田舎にやってくる勇気がすごいですね。
宗我部
I
ターンというと都会生活に疲れた人がやってくるとか、定年間近に人生考えて田舎で暮らそうかという人が多かったと思います
が、大学を卒業してすぐ就職先としてこちらにやってくる新しいタイプのターンですね。
成功例として全国に発信していけるためにも、頑張ってほしいですね。
遠藤
けさは上勝町にIターンで移り住んできた2人を紹介しました。