2005/04/22 No.8310

 

金曜日 

変わるのか 赤字の県立3病院 塩谷泰一さんのやる気 詳細 >> 

ゲスト出演者 塩谷泰一さん(徳島県病院事業管理者)

 

行長万理の 50円のおかず 筍の梅え煮
うちのペット自慢
なつかしの徳島 *推奨みやげ品認定式

けさの生け花 

*嵯峨御流・今治豊子さん

>詳細

変わるのか 赤字の県立3病院 塩谷泰一さんのやる気

(VTR) 
  日常性に埋没しとる

塩谷泰一(しおたにたいいち)さん 57歳。
今月1日、県内に3つある県立病院の経営責任者に就任しました。
3つの県立病院の累積赤字は総額 79億円。
今、深刻な赤字経営にあえいでいます。
塩谷さんは香川県 坂出市立病院の元院長。
13年連続赤字だった病院を就任からわずか2年あまりで黒字に変えた人物です。

徳島にきて4か月。
「変わらなきゃ」をスローガンに職員全員が参加する病院運営に乗り出しました。
徳島の医療の中核を担うべき県立3病院。
しかし毎年30億円の補助金が注がれても赤字から抜け出せないままです。
「 医療 」は、「 ひと 」は、ほんとうに変わるのか。
今、塩谷さんの取り組みが注目されています。

(スタジオ)

ではけさのゲストをご紹介します。
徳島県病院事業管理者、塩谷泰一さんです。
塩谷さんは岡山県出身、徳島大学医学部を卒業後、公立病院の勤務医として活躍してきました。
そしてことし4月、県の病院事業管理者に就任しました。

>徳島ともゆかりが深い
>県立中央病院、県立三好病院、海部病院3病院の経営の責任者ということですね

予算・人事・給与体系すべてに関わり、知事にかわって総括

塩谷さんは、県の病院事業立て直しのため就任されたわけなんですが、
県立病院など都道府県が経営するいわゆる自治体病院は、その9割が赤字です。

県立病院も、今たいへん苦しい状況です。
(県立3病院 収益の推移)
こちらは県立3病院の収益の推移をしめしたものです。
グラフが下がるほど、赤字額が大きいことをしめします。
まず中央病院です。96年度には3億円近い黒字でしたがその後次第に下降し、
2003年度には3億1200万円の赤字となっています。
次に三好病院です。
1億7000万円ほど黒字でしたがこちらも次第に下降し、2003年度で1億7000万円の赤字になっています。
最後に、海部病院です。
こちらも下降を続けこの年およそ2億3000万円の赤字を計上しています。
この3病院を合計してみますとここ8年間の赤字への推移がいっそうよくわかります。

96年度に5億円近くあった黒字は急速におちこみ、2003年度までの県立3病院の累積赤字は
およそ79億5000万円にもなります。
塩谷さん、この数字、率直にどうおもわれますか

でも県立病院は外来の様子をみる限りでは連日多くの患者さんが訪れているようにみえます。
赤字が深刻になるのはいったい、なぜなんでしょう

その最大の要因がこちら「 繰入金の減少 」です。
こちら、2001年と翌年2002年の収支をごらんください。
2001年、3つの県立病院はおよそ167億3000万円の収入をあげています。
しかし、その中には県から35億9000万円の補助、つまり繰入金が投入されているんです。
この年の支出はおよそ170億でしたから差し引き3億5000万円の赤字でとどまりました。
しかし翌年、この繰入金が削られたため経営は大きく悪化します。
収入は 158億3000万円、前年より9億円も下がっています。
繰入金をみると前年よりも6億8000万円減っています。
繰り入れ金の減少が収益の低下に大きく影響していることがわかります。
しかし支出は166億円かかりましたので差し引き赤字は8億円。

一気に5億円近く膨らみました。
もともと県立病院は医療過疎の解消や難病治療などの高度な医療を担うために開設された病院です。
しかしそのためには多額の費用がかかります。
県は、繰入金を投入して病院を支える必要があったんです。

塩谷さん、この繰入金、県立病院にとっては経営の生命線ですね

Q でも民間医療機関が増えて医療水準があがった今、県などの自治体が繰入金を出す意味は薄れてはいませんか?

医療の内容で民間との違いを説明できなかった

Q 毎年30億円も税金が投入されているのに赤字では県民も納得しないのでは 

さて、( 県立病院にしかできない医療とは何か )( 県立病院はかわるのか )
塩谷さんの取り組みを取材しました。

(VTR)

県庁

県の条例では、県が行う病院事業では「企業としての経済性」と「福祉としての公共性」という、
相反するふたつを成立させることが定められています。
経営責任者と同時に現役の医師でもある塩谷さんの手腕が試されます。
病院はその現場、毎日のように出かけます。

 いつも自転車で移動
 タイム競走する

徳島に赴任して4か月、塩谷さんの中には病院を変える手だてがすでにありました。
県立3病院のひとつ、中央病院。
18の診療科をもつ県内最大規模の総合病院です。
救命救急医療を中心とした病院として24時間365日対応する一方、
ガンや心臓病、体外受精など高度医療の拠点としても重要な役割を担っています。
職員は臨時職員まであわせると600人になります。

 看護婦室?変えなさい
 「理念」(の掲示板)が曲がってる。さびしいなあ            

病院でまず変えなければならないもの、それが職員の意識でした。

(インタビュー 塩谷さん)
5年10年同じところにいたらわからなくなる。
でも絶対変わる

香川県坂出市

今から14年前、塩谷さんはこの町で、ある病院の院長になりました。
坂出市立病院。
それまで毎年数億円の赤字を出し、債務比率は全国の自治体病院のワースト1位。
国から病院の廃止勧告まで受けていました。

(インタビュー )
  坂出市立病院医師 砂川正彦さん(現院長)

 閉塞感・むなしさ
 他の人が悪い 

25億円の累積赤字と病院の古い体質、そして築40年の老朽化した建物が患者の足を一層遠ざけていました。
方向性を見失った職員に塩谷院長がまず示したもの、それは病院のあるべき姿でした。

「市民が安心して暮らせ、心の支えとなる病院にしよう」
塩谷さん自ら総合案内にたち患者の要望や苦情を聞きました。
一方で患者サービスや職場改善など病院運営のための8つの部会をつくり、職員を参加させました。
医師、看護師、事務職員。
共通の危機感が職種の壁を超えました。
また病院の年間目標や部署別の収支発表会を行い、経営感覚も身につけました。

全員参加の病院運営が始まったのです。

(インタビュー)
 現看護師長 なんとかしないと思った。だから一緒にがんばった

また平成11年には電子カルテをいちはやく導入、日本語でかかれた診療内容を患者が持ち帰れるようにしました。

 改ざんできない
 投薬の履歴もわかる
 公明正大

全職員で取り組んだ病院運営。
評判は口コミで広がり、患者が戻ってきました。

 安心できる
 だから子どもも診てもらう

病院の収益も一気に好転します。
塩谷さんの就任直後から急激に伸びをみせ、
就任からわずか2年後の93年には早くも黒字に転じます。
95年からは10年間続で黒字を達成、99年には過去最高収益の3億3400万円を記録しました。
坂出市立病院は病院再建のモデルケースとして全国から多くの見学者が訪れます。

廃止の危機をバネに職員の意識を変えた塩谷さん。
賃金カットやリストラでは実現しなかった病院再建でした。

(スタジオ)
Q 塩谷さん、一番大切なのは意識の改革ですか
  改革でなく、覚醒=気づかせる。そうすれば共鳴現象で1プラス1が3にも4にも

Q 給与を削ったり、人を減らしたりといういわゆるリストラではないわけですね。

Q 県立病院にも坂出の例があてはまるのか
ではこちらごらんください。

(県立3病院の収支)
県立3病院の2003年度の収入と支出の内訳をしめしたものです。
塩谷さんのねらいでは、今後この収支のどの部分がどのように変わるのですか

Q民間の病院とは違って経済性と公共性両方のバランスをとるのは難しい。
自治体病院の悩みはここだとおもうのですが

けさは県立3病院の今後について県病院事業管理者の塩谷泰一さんにおこしいただきました。
今後の展開に注目しています。
ありがとうございました。
さて、塩谷さんが徳島に来て4か月。
塩谷さんがまいた種は、あちこちではやくも芽を出しはじめました。

(VTR)
消毒用の小さなガーゼ。
ムダにならないよう1枚1枚が小分けされたものです。

(看護師インタビュー)

 何年も前から指摘したこと
 やっとかわった。こうなると現場のやる気が違う

 海部郡牟岐町 20日

深刻な医師不足に悩む海部病院。
今月から中央病院の内科医師が応援に派遣されることになりました。

 中央病院院長・永井雅巳さん
 患者さんへのインタビュー

 地域のひとにとってこの海部病院は大事
 年をとってからは、(遠くにある)日赤病院まではよういかん

 永井さん
 楽しい、医者の達成感

塩谷さんが投げかけた改革の輪は次第に広がりをみせようとしています。
塩谷泰一さん57歳。

病院再建の取り組みはまだはじまったばかりです。

 

おはようとくしま 2005年の放送