2005/01/12 No.8245

野球にかけた男たち 詳細 

取材ゲスト 四国独立リーグにトライアウトした4人

仙波教授の阿波弁講座  「かたで」

うちのペット自慢 バニラ(雑種)

なつかしの徳島 新入学児童の身体検査(沖洲小学校)。教科書入荷

けさの生け花 未生流笹岡・井澤峰甫さん

>詳細

詳細は未更新です。

(VTR)

「将来の夢は?」

野球小僧ならきっとこう答えるはず。
「プロ野球選手」と。

でも、その夢を叶えられる人は、ほんのわずかだけです。

(石毛代表会見)

「アマチュアの選手の受け皿となってプロ野球界への供給源となるリーグ」

去年秋、突如発表されたプロ野球「四国独立リーグ」。

一度は諦めかけたプロ野球選手という夢。

その夢に向かってもう1度挑戦できるなら。
野球にかけた男たちが四国独立リーグのトライアウト、プロテストに挑みました。

(スタジオ)

さてプロ野球の四国独立リーグがいよいよ今年4月から
この徳島をはじめ四国各県でスタートします。

先月は、リーグの代表を務める石毛宏典さんを
このスタジオにお招きしたんですけれども
既存のプロ野球とは一線を画したリーグです。

ただ、石毛さんもおっしゃっていましたが四国独立リーグから
現在あるプロ野球に進むような選手を育てていくのが
最終的な目標だということなんですね。

この四国独立リーグについて簡単に説明しましょう。

四国各県にそれぞれ1チームづつチームを置き、
この4チームでリーグ戦を戦います。
4月に開幕し10月までに年間それぞれ90試合行うというものです。
選手の人数は各チーム22人の合計88人です。
選手の給料は月にわずか12万円です。

こう見ると、既存のプロ野球に比べて
給料などの条件などはかなり厳しいんですね。
それでもプロ野球選手になりたい、
思いっきり野球がしたいという思いで県内からもトライアウト、
プロテストに挑戦する若者たちがいました。

(VTR)

(ランニング)

鳴門市に住む加古健太郎(かこけんたろう)さん、19歳。

ピッチャーとして四国独立リーグのトライアウトの受験を予定しています。

(加古さんインター)

(このシューズは)鳴門工業の時のあんまり練習に行ってなかったから

「まずは四国独立リーグに入って技術を磨き、
将来は日本のプロ野球のピッチャーとして甲子園のマウンドに立ちたい」。

加古さんがあくまで甲子園にこだわるのには訳がありました。

加古健太郎さんは兵庫県芦屋市の出身。
野球に出会ったのは小学3年生の時。
ジュニア野球の監督をしていた父親の影響も少なからずあったようです。
その父親と、鳴門工業野球部の監督が大学時代の同級生だったこともあり
高校は鳴門工業へ進学しました。

(鳴門工業高橋監督インター)

・入ったときは130キロ後半のボールをほおっていた
・この子中心で甲子園狙えると思った

チームの柱として期待されていた矢先に、思わぬアクシデントが加古さんを襲います。
1年生の夏に腰を怪我。
ヘルニアでした。 

(加古さんインター)

・周りについていけないし、
・(練習は)できなかったというよりしたくなかった
・悔しかったがそれを出すのがまたイヤだった

加古さんが2年になった春のセンバツ大会。

チームは準優勝の快挙を達成します。
しかし、加古さんの姿は甲子園のベンチにもスタンドにもありませんでした。

この年の夏、加古さんは鳴門工業を退学しました。

(加古さんインター)

Q後悔は?正直言ってある。
(3年間野球を)やっていた自分を見たかった。
今どんだけやっても3年間やっていた自分はない

(高速バスが明石海峡大橋に差し掛かる)

この日、加古さんは神戸に向かっていました。

現在通信制の高校に在籍しており月に1度、授業を受けに通っています。
鳴門工業時代のチームメイトより1年遅れながら今年春、高校を卒業予定です。

(選手の影)

自分の弱さから逃げ出してしまった野球部のグラウンド。
加古さんは鳴門市内の親戚宅に身を寄せながら
再びこのグラウンドで汗を流しています。
四国独立リーグのトライアウトを受けるため、
そしてチームメイトと一緒に行けなかったあの甲子園のマウンドでプロのピッチャーとして投げるために。

(ピッチング)

(後輩と会話)

・何行っとたん?
・自衛隊・・・

練習相手になってくれる野球部の後輩たちが
就職や進学といった将来の進路が決まっていく中、
「一体、自分は何をやっているんだろう」
そんな思いが頭をよぎります。

(加古さんインター)

・金にならへん野球だけではあかん
・今年で最後にする

「ダメなら今年で終わり。
でも、今が人生の中で一番野球と正面から向き合っているような気がする」

加古さんは少し照れて話しました。

(打球の音、揺れるネット)

徳島市の中江拓雄(なかえたくお)さん。

四国独立リーグのトライアウトを目指す一人です。

使い込んだバットはその決意の表れです。

中江さんは母校である徳島商業の野球部のグラウンドを借りて練習に励んでいます。

(バッティング練習)

(中江さんインター)
(手のマメを見せながら)全部1回つぶれたんですよ。もう痛くないです。

・草野球はいつでもできる
・厳しい野球はこれが最後
・勘は戻ったが、キレがいまいち

中江さんは現在24歳。
四国独立リーグのトライアウト受験資格は24歳まで。
中江さんにとって今回のトライアウトが正真正銘、最初で最後のチャンスです。

もの心ついたときには、バットを持って遊んでいたという中江さん。

小学校に入ってからは野球漬けの毎日。

高校時代には徳島商業のセカンドとして
2年生から春夏4期連続で甲子園に出場しスタンドを沸かせました。

大学は名門、同志社大学に進学。
大学のリーグの代表メンバーにも選ばれました。
しかし自身の努力不足で卒業のための単位が取得できず留年。
4年生の時に「高卒扱いでなら」という条件で社会人野球からの誘いもありました。
悩んだ末、大学卒業を優先。
野球への道を閉ざしたのです。

(中江さんインター)
・やめたくてやめた野球じゃない

(ナイター照明の中で野球部のノック練習)
(練習をながめる中江さん)

(中江さんインター)
・懐かしいですね
・監督怖かったんすよ
・小泉さんノック上手いので、守ってるやつは幸せ。上手くなれる

(ダッシュ)

中江さんは去年春、大学を卒業。
徳島に帰り、工場で働き始めました。
その仕事ぶりが認められ、「今年春からは正社員に」という話もありました。
しかし「四国独立リーグ」構想が明らかにされた去年10月、仕事を辞めました。
「もう1度、勝負の世界に身を置きたい」。
迷いはありませんでした。

(中江さんインター)
・周りからはもったいないといわれたが野球をもう1回やりたい
・24歳までというのが大きかった

(雨のグラウンドでバッティング練習

とはいえ、トライアウトまで中江さんに与えられた練習時間はわずか2か月しかありません。

守備と肩にはもともと定評がある中江さん。
課題はバッティングです。
「大学4年生の時からの1年半のブランクを埋めることが出来れば、絶対に合格できる」
その手に力がこもります。

(雨の中の練習)
(雨の中ボールを拾いに走る)

(中江さんインター)
・終わります。
・雨なんでしゃあない
・明日は晴れみたいなんで頑張ります

(徳島市役所)

市民が出すゴミの処理などを担当する徳島市の生活環境課。
ここで働く齋藤大輔(さいとうだいすけ)さん、22歳。

嘱託職員として事務の仕事をしています。

(齋藤さんインター)
・今やっている仕事は野球とは関係ないがいろんな人に会えて
情報をくれたりするので自分にとってはプラスになっている

齋藤さんは徳島市の出身ですが、野球をするため、かつて全国にその名前を響かせた池田高校に進学。
3年間には1度も甲子園への出場こそ叶いませんでしたが、
内野手として活躍しました。
その後、大学に進学したものの野球への情熱を失い、おととし大学を中退しました。
齋藤さんは去年8月から徳島市役所の嘱託職員として働いています。
時には市民からお礼の手紙をもらったこともありました。
「真剣に市役所の正職員になりたい」
そう思い勉強を始めた矢先、四国独立リーグのニュースを知りました。

市役所の職員採用試験は12月5日。
実は、この日は高松市で行われる独立リーグのトライアウトの開催日と重なっていました。

(齋藤さんインター)
・阪神に藤本という選手がいてこの人は1年以上ブランクあってプロになれた
・自分も1年以上野球やってないがそんなこともあって

トライアウトは高松をはじめ全国5箇所の会場で行われます。
ほかの会場にまわれば、両方とも受験できます。
「でも今は少しでも野球に集中したい」
今回は市役所の採用試験を見送ることを決めました。

(齋藤さん)
(電話で話す)

(河川敷)
・終わったら連絡してな

(車で走る)

昼間は働いているため、練習はきまって夜からになります。

決まった練習場はありません。
車で走りながら、明かりがついているグラウンドを探して回ります。
この日見つけたのは河川敷のグラウンドでした。

(サッカーの練習をしている人にお願いする)
・向こう使ってもいいですか?
・齋藤さん投げる

齋藤さんの練習パートナー、林敦(はやしあつし)さんです。
齋藤さんとは小学校の同級生。
林さんも齋藤さん同様、仕事をしています。
ピッチャーとしてトライアウトを受験するつもりです。

(林さんインター)
・足元を気にする
・やりこいけん、いつもはもう少しましなんですが
・女の子がサッカーする

もともとはサッカー用のグラウンド。
しかも充分な手入れができていません。

・あっ、ゴメン

それでも2人にとって貴重な練習場所に変わりはありません。

(齋藤さん、林さんインター)
・思うように練習できない
・はたから見て、こんなんでええんかなと思う
・時間ない、暗い、場所ない
・ほんなんゆうてもしゃあない

(足元の土をける)

この日2人の練習は、明かりが消えるまで続きました。

(投球練習)
・ナイスボール

(スタジオ)


トライアウトを目指す4人をご覧頂きましたが、
みなさん決して恵まれた環境じゃないし、本当にこれが最後のチャンスなんだ、
絶対逃したくないんだという気持ちが伝わってきますよね。

四国独立リーグのトライアウトの日程なんですが、
先月、高松をはじめ全国5箇所で行われました。
合格する選手は88人。
これに対して受験したのは1,166人にのぼりました。
実に倍率13倍という大変狭き門だったんです。

(VTR)
(球場)

高松会場を皮切りに先月行われた四国独立リーグのトライアウト。
プロへの夢をかけていずれも腕に覚えのある若者たちが全国から集まりました。

現在24歳。
正真正銘今回がラストチャンスになる中江さんもその中にいました。

(中江さんインター)
・体調はいい方
・思いっきりやる

トライアウトでは50メートル走と遠投、これに野手はバッティングとフィールディング、
投手はピッチングのテストがそれぞれ課せられました。

河川敷のグラウンドで練習していた、あの齋藤さんです。

(齋藤さん50メートル走)

(齋藤さんインター)
・厳しいですね
・もっと練習しておけば
・林君は?

齋藤さんと一緒に練習をしていた林さんはその頃、マウンドに向かっていました。

しかし、わずか5球で林さんはマウンドを降りてしまったのです。

(林さんインター)
・えっ?
・ヒジが痛くて

実はこの前に行われた遠投のテストの際、右ひじに突然、痛みが走ったというのです。

(林さんインター)
・とりあえずヒジ治して
・野球が終わったわけではない
・お疲れ様でした・・・

24歳。
今回がラストチャンスの中江さん。

(中江さん遠投)

100メートルを軽く超える大遠投。
まずまずといった所です。

そして最後のテスト。
課題だったバッティングです。

バッティング投手を務めるのは、
四国独立リーグを運営するIBLJ代表のあの、石毛宏典さん。

(中江さんバッティング)

(中江さんインター)
・バッティングは納得いかなかった
Qこの間を振り返って?
・しんどかったけど楽しかった
(合否が発表される)1月までは体を動かします

(グラウンドに白線を引く・・・大阪会場)

鳴門工業のグラウンドで練習を積んでいたあの加古さんです。

(加古さんインター)
・調子は悪くないっす
・自分のペースで

自分の弱さから一度は逃げ出してしまった野球。
「でもやっぱり自分には野球しかなかった。このチャンスは絶対につかみ取りたい」。

加古さんの野球人生をかけたマウンドです。

(加古さん投げる)

(審査員)
・投げ方はそんなに悪くない

しかし。
「力み」からか、変化球のコントロールが定まりません。

プロのマウンドをかけたトライアウトは終わりました。

(加古さんインター)
・普段どおりのピッチングできた。そんなに悪くなかった
・満足かといえば満足ではないが
・周りの方の協力には感謝したい

野球が好きで好きでたまらない。
若者たちの表情は輝いていました。
四国独立リーグのトライアウトに挑んだ若者は
1,166人を数えました。

(スタジオ)
プロ野球界は去年はいろいろとゴタゴタしましたし、
野球人気の陰りなんてのも指摘されていました。

でも若者たちがこんなに情熱を持って野球に取り組んでいる姿は
いち野球ファンとして安心したというか、嬉しいですね。

はい。
さて先月行われたトライアウトの結果ですが
今月下旬に発表される予定です。

けさは四国独立リーグのトライアウトに挑んだ若者たちの姿をお送りしました。

 

おはようとくしま 2005年の放送