2003/04/08 No.7814

おはようとくしま

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過疎の村でどうなる郵政公社化

0408A.JPG (46437 バイト) 徳島大学総合科学部 (経済学) 助教授・伊藤国彦さん

(VTR)
今月1日、新聞に、ある一面広告が出されました。
広告の提供主は「日本郵政公社」。
郵便局が、職員数28万人あまりのマンモス公社へと生まれ変わったことを知らせるものでした。
この日、全国の郵便局では新しいロゴマークを統一し、
外回りの職員の制服を一新しました。
けさのおはようとくしま、公社への移行によって
郵便局の何がどう変わるのか、考えてまいります。

(スタジオ)
全国におよそ2万4000箇所あまりある郵便局ネットワークが
日本郵政公社へと移行しました。
郵便制度の誕生から、じつに130年余りを経ての大改革です。

郵政公社になったといいましても職員の身分は国家公務員のまま、
これまでと同じに思われる方もいらっしゃると思うのですが、
簡単に言いますと、これまであまり考えなくてもよかった「採算」の部分を
これからは民間企業と同じように追求していかなければならないと、こういうわけなんです。
そこのところを、けさは詳しく教えていただきましょう。

徳島大学総合科学部助教授で社会経済学がご専門の伊藤国彦助先生にお越しいただいています。
おはようございます。
先生、今回の公社化、一言で言うとわれわれ消費者にとってどんな影響がありますか?

>官僚の中でも郵便局は努力していた方だと思う。公社化されてもこれまでのサービスが維持されて、少しよくなることも考えられるが基本的に変わらないのではないか。

番組では郵政公社化に対するご意見を募集します。

さて、郵便局は、郵便、郵便貯金、簡易保険の3つの事業を柱にしてこれまでやってきましたが、
先生、このいわゆる「郵政三事業」は、公社化になっても引き継がれるんですよね?

じゃあ郵政公社になったことで、組織としてはこれまでと何がどう変わったのですか?

>国は予算などで動かなくてはならなかったので様々な制約があったが制約がなくなったことで新しいサービスが細かく設定できる。例えばATMを24時間稼働させたり、郵便局を他の施設として使うなどが考えられる。ただ、採算性が重視されるので公共的なサービスを維持しつつ無駄のない効率的な経営に努めなければならないというのがプラスされる。

先生、一般にはですねえ、国に守られた郵便局は、例えば郵便貯金も簡易保険も、郵便局の一人勝ちのように言われていますよね?

>全国で2万4000カ所の郵便局は全国津々浦々からお金を集められるネットワークと、国家的な信用が背景にあって非常に大きな資金を集めていると言われている。ただ民業圧迫という批判があり、民営化を進めるべきだという意見の理由にもなっている。

先生のおっしゃることを裏付けるのがこちらのデータです。

郵便貯金233兆円(昨年度末)

銀行:三井住友、UFJ、みずほ、東京三菱合わせて205兆円

簡易保険 123兆円

生命保険 日本生命、第一生命、住友生命、その他合わせて184兆円

例えば郵貯、これ、皆さんもご存知のように預けられる限度額が1000万円なんですが、にもかかわらず今年度3月末の残高予想は233兆円と、
昨年度の大手銀行4社の預金残高の合計でも追いつきません。

さらに簡易保険、これも補償の限度額が最高で1000万円と決まっているにもかかわらず民間の生命保険の総資産と比べると8割近くまで追い上げている状況なんです。

郵便事業だけは少し違うようなんです。
これは、「郵便小包」と、民間の業界最大手「ヤマト運輸」の昨年度の小包の取り扱い個数を
比較したものなんですがこのようになっている・・・
さらに最近ではインターネットや携帯電話の普及で文離れが進み、
手紙を出す人も少なくなって公社初年度の郵便事業は26億円の赤字が見込まれているそうなんです。

取り扱い個数(平成13年度)

ヤマト運輸(宅急便)8億9,860万個
郵便小包(ゆうパック)4億1,102万個

やはり、民間企業の努力はすごいんですね。

>長引く不況の中で朝早くから、夜遅くまで血のにじむような努力をしているようだ。

>金融の自由化やビッグバンで民間の金融機関が様々なサービスを提供し郵便貯金の資金を引き寄せることが期待されたが、金融不安や株安でどうしても国家的な背景のある郵便貯金から動かせない状況だった。もちろん単体で民営化すれば世界1級のメガバンクになるだろう。

そして公社化により、郵政の独占事業だった郵便事業に、今月から民間の参入が可能となりました。
しかしこれには難しい現実があるんですよね、先生。

>4月から公社への移行に伴い民間参入の法律も施行されたが10万ものポストを設置するようにとか、全国どこからでも引き受けや配達をすること、均一料金にするようにとしているので参入はなかなか難しい。

そんなに難しい決まり必要なら何のための民間参入だったのか・・・・・。
そんな状況を見る限りにおいては、郵便事業も安泰のように思いますが、
これはどうなんでしょうか?

>はがき、手紙は先程の条件が当てはめられるが小包の場合は安泰でなく、民間との競争がでてくる。郵便事業でも利益を出さなくてはならないというのでシェアーの少ないところは増やすようにしたいと思っているだろう。

ま、まだまだ守られていることが多いとはいえ、
郵便市場は今、民間業者のニューマーケットとして熱い視線が注がれています。
郵政の公社化をにらんだ新しいサービスを早速打ち出してきた、ある民間業者を取材しました。

(VTR)

全国に約2600のネットワークを持つ宅配業界最大手のヤマト運輸は、昨年、取り扱う業務全てあわせて9320億円あまりを売り上げました。
そのヤマト運輸が今月1日からスタートさせた新しいサービスというのが「くろねこメール便」。
これまでにも同じサービスはありましたが、価格と重量規定が大まかで、また配達スピードも郵便に比べて劣っていました。
新しいサービスでは、A4サイズの書類なら折らずにそのまま送れて50グラムまでなら80円。
一方郵便局の場合、定型郵便なら50グラム90円、
定型外郵便なら50グラム120円ですから安く、
しかも徳島―東京間なら翌日に配達されるというスピードも備えています。

切手の代わりに貼られたバーコードは配達状況の確認をするためのもので、
ヤマト運輸のホームページ上で荷物の追跡調査ができる仕組み。
ダイレクトメールやカタログ頒布の多い企業に向けたサービスで、
このメール便事業だけで1000億円の売り上げを目標にしているということです。

(スタジオ)

これはすごい。

郵便局より安いんですね。

ま、このメール便は、手紙を配達できません。
カタログやダイレクトメールでないと送ることができないのですが、先生、郵便局は、これにどうやって対抗するつもりでしょうか?

>新しいサービスを4つあげてみると

  1. 一律500円の小包を新発売
  2. 翌日配達地域の拡大
  3. 空きスペースにコンビニを誘致
  4. 24時間稼働のATMを増設

公社になったとたん、何で配達の範囲が広がったり
新しい小包みができたりサービスが良くなるのでしょうか?
だったら公社にならなくてもすればよかったのに・・・
先生、いかがですか?

>民営化か、公社化かという議論の時に民業圧迫の問題が指摘された。サービスを充実したいが充実すると民業を圧迫するというジレンマを郵便事業はかかえている。これまでも努力してきたが大胆にできない。今採算性を追求しなくてはならなくなったところで新たなサービスを取り込んでいっているが、官業と民業のバランスを考えながら官にしかできないサービスを充実させることが大事なのではないか。

じゃあ、郵便局にしかできなかったものはいったいどういうサービスなんでしょうか。
ある、過疎の村の郵便局を取材しました。

(VTR)
美馬郡木屋平村にはおよそ560世帯1300人の人が暮らしています。
その多くがお年寄りで、一人で暮らしている人も少なくありません。

0408B.JPG (59713 バイト)

川井郵便局は、そんな木屋平村の中にあります。

川井郵便局の朝は職員8人のミーティングから始まります。
内勤4人、外勤も4人の集配特定郵便局です。
木屋平村では、一部の地域の人に対して朝刊が郵送で配られています。
配達の人件費を考えると購読料では採算が合わない過疎地です。

窓口に訪れるお客さんは、1日におよそ2〜30人。
扱う業務の量が少ない川井郵便局などの過疎地の郵便局は、
平成4年から郵便物を配る傍ら、あるサービスを始めました。

村内で一人で暮らすお年寄りの安否確認をするサービスです。

配達職員は、一人暮らしのお年寄りにとって、いい話し相手です。
何よりも、この話し相手になることがお年寄りを元気にさせることを知っているから、
西村さんは引き止められて断ることができません。

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ただ励ましの声をかけていただけの運動が
平成9年「ひまわりサービス」と名づけられ、
郵便局と契約を結んだお年寄りの玄関先に目印が取り付けられました。
この目印が出ていたら、配達職員はお年寄りを訪ね、
買い物や、役場の用事を代行するボランティアをおこないます。

西村さんは配達するものがなかったり、ひまわりの目印がでていなくても、
一人暮らしのお年寄りを訪ねていく努力を続けています。

軒先のダンボール箱には民間業者の配達シールが貼られていました。
少し前まで民間の配達が及ばなかった地域でも、
今では全国どこへでも荷物が届きます。
郵政公社への移行によって過疎の地域にある郵便局の存在意義が改めて問われています。

どんなところに住んでいる人にも格安料金で便りを届けてきた「村の郵便さん」が培ってきたものは、
利益や利便性を追求していたらはぐくまれることの無かったものかもしれません。

30年間、木屋平村の人たちの「郵便さん」として親しまれてきた西村さん。
配達の苦労を感じたことはないそうです。

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10キロの小包みを背負い、20分の山道を登ります。
公務員としての義務だけではなく、村の人の役に立ってきたという自信が
西村さんの背中を後押ししてきました。

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もし、郵便さんが来なくなったらどうしますか?と聞くと、
「そんなこと考えられない、ほんまに、困るだろうなあ」とおかあさんは答えてくれました。
過疎地だからこそ見られた郵便さんと村の人とのつながりは、決して、都市部では見ることのできないものでした。

(スタジオ)
こうやって見てみますと、当たり前に感じていたもののありがたみっていうのが改めて分かったような気がします。
民営化されるとコストがかかるので一番最初に切り捨てられないかと心配もありますが先生はいかがですか?

>地方にとっては不可欠な公共サービスになっていると思います。

VTRにありましたようなサービスやボランティアを例えば民間がおこなおうとするとやはりかなりのコストがかかるものなんでしょうか?

>人件費は非常に高いので、山奥までというのは民間では無理でしょうね。

全国の郵便局ネットワークだからできるのかも。
人の暮らしの豊かさは利便性だけではない。

(視聴者の意見)

さてここまで今月1日からの郵政公社化についてお伝えしてまいりましたが、先生、小泉総理は、国の構造改革の大きな柱に「郵政民営化」をあげましたよね、で、今回の公社化についても、民営化への第一歩だと見ているようなんですが、
実際のところ、郵便局の民営化はありますか?

>当面は4年間、目標を立てた中に民営化はない。生田総裁も民営化の是非は政治の問題と話しているようにこれからの政治の議論で公社で、民営化するか公社として存続するかがかかっていると思う。

この郵政公社に、先生は何を期待しますか?

>新しい公社には、もちろん新しいサービス、国民のニーズに応えて欲しいと思うし、民営化か公社化かはみなさんで考えてほしい。どういうものを残し、どういうものは民間にやってもらうのかがこれから問われてくると思う。

けさは、郵政の公社化についてお伝えしてまいりました。
伊藤先生、ありがとうございました。

放送台本から抜粋。細部では実際に放送された内容と違うところがあります。

(This is an uncorrected transcript for site edition ,different from real program. )


放送記録 

 あすに残そう 正法寺本堂

けさの童謡 「さくら さくら」板野高校音楽部

うちのワンちゃん ウラン(ラブラドール・レトリバー)

なつかしの徳島 新町小学校入学式

けさの生け花 未生流・西野美甫さん


おはようとくしま 2003年の放送