2002/07/19
踊り子・蔭川千春〜よしこのに魅せられて
勇壮な和太鼓の演奏で知られる「ぐるーぷ藍吹雪」の舞台です。
阿波踊り有名連に所属する名うてのお囃子たちが集まって結成されています。
蔭川千春さんは藍吹雪の踊り子です。演舞場では見られない蔭川さんの踊り、その実力を誰よりも認めているのがよしこのの第一人者、お鯉さんこと多田小餘綾(ただ・こゆるぎ)さん。
お鯉さん自らが自慢ののどを披露するとき、蔭川さんはその傍らで舞台に花を添えています。
けさのおはようとくしまは、よしこのに魅せられた踊り子蔭川千春さんをご紹介します。
阿波踊りまで1ヶ月をきり、夕方になるとあちこちでぞめきのリズムが聞こえてくるようになりました。
いよいよ「徳島の夏、本番」といった感じです。
そうですね、阿波踊りの季節です。
けさは一人の踊り子さんにスポットをあてたいとおもいます。
ご紹介します。おはようございます。蔭川さんは徳島新聞カルチャーセンターの講師も務めていらっしゃいます。よろしくお願いします。
さて蔭川さん、冒頭のVTRにもありましたがすばらしい踊りっぷり、阿波踊り暦は何年になるのですか?
ことしで23年になります。
失礼ですがおいくつですか?
29になります。
と、いうことはこれまでの人生のほとんどを阿波踊りとともに歩まれてきたといっても過言ではないでしょう。
阿波踊りといえば「よしこの」ですが、実は蔭川さんはお鯉さんには特別な思いがあると聞いていますので後ほど詳しくお伺いしたいと思うんですが、はじめに一つだけ、「踊り子」にとって「お鯉さん」とはどんな存在なんでしょう?
踊り子ならば誰もがあこがれている。一度はお鯉さんの生の声で踊ってみたい。ご一緒させてもらったときはお鯉さんの偉大さを実感しました。
そうでしょうね、お鯉さんのよしこのに魅せられて阿波踊りを始めたという踊り子さんも多くいらっしゃるとおもいます。
私たち阿波っ子の誇りでもあり憧れでもあるお鯉さんは、阿波踊りには欠かせない「よしこの」の第一人者です。
名人・お鯉さんは、蔭川さんの踊りのどこに惹かれているのでしょうか。〔VTR〕
「ア・ア・・・声がでんわ・・」
よしこの 「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、よいよいよい・・・阿波の 殿様の〜♪」
富田町の芸妓として名をはせたお鯉さん。(本名:多田小餘綾 ただ・こゆるぎ )
7歳から始めた三味線を手に95歳の今も元気によしこのを謳い上げます。
つややかでやさしい歌声は衰え知らずです。
人生をよしこのとともに歩んできたお鯉さんだけに、最近始めた書道でしたためるのもまた「よしこの」という文字です。「これと思えば深く付き合う。よしこのは何気なく歌えて楽しい。」
踊り手あってのよしこのです。
お鯉さんはパートナーに蔭川千春さんを選びました。「姿がいい。絵に描ける踊り子さん。一緒にやれば相通じるところある。
蔭川さんの踊りが美しいのは独特の手の運びと、全く重さを感じさせない足さばきが見事にマッチしているからです。
指先まで神経を尖らせているにもかかわらずりきんだところがありません。
スローテンポになるほど燐として、それでいて、やさしく、どこかせつない手の動きや品の良さが際立ちます。
踊り子であることの自信と誇り、そのものが全く軸のぶれない見事な踊りとなって表現されています。(スタジオ)
お鯉さん95歳、蔭川さん29歳、実にその差66歳、孫以上の年の差があるのですが阿波踊り、そして「よしこの」の魅力に取り付かれたお二人にはさまざまな共通点があるのかもしれませんねえ。
そうですね、歌い手と踊り手、立場は違えど求めるものは同じといった感じを受けました。
蔭川さん、お鯉さんのよしこので踊るというのはどんな気持ちですか?これ以上のものは無いという気持ち。私はこれまで通ってきたお鯉さんの姿を思い浮かべます。
お鯉さんの存在が大きいだけにお鯉さんと共演されるときには相当な技術が要求されるのではないですか?
練習イコール本番という感じで、お鯉さんは何もおっしゃらない。
さすがに名人同士なら練習なんかしなくても息がぴったり合うということなんですねえ。
どうすれば、そんなに高い技術を維持していけるのですか?高い技術を維持するというのではなく、好きだという気持ちだけでやっています。
好きこそ物の上手なれとはよくいったものですがこんなにすばらしい踊り手であっても裏には地道で厳しい努力が続けられています。
〔VTR〕 (藍住東中学校での練習風景)藍吹雪の練習はお盆があけた9月から翌年の7月までほぼ1年中続けられます。
6歳から阿波踊りを始めた蔭川さんは24歳で結婚するまで有名連の水玉連に所属するトップの踊り子でした。一時はやめた阿波踊りの世界に再び足を踏み入れたのが27歳の夏。
憧れのお鯉さんからライブで踊らないかと誘われたのがきっかけでした。「気持ち、手が前に下がってる!」
お盆の4日間になると藍吹雪のメンバーはそれぞれが所属する有名連で踊りの本番を迎えます。
どの連にも所属しない蔭川さんはその間、一人の踊りファンとして演舞場に通います。
桟敷に未練があるのではなく、純粋に踊り見物を楽しむためです。
一糸乱れぬ組織の美を誇る現在の阿波踊りの中にあって、蔭川さんは自分が気持ちよく踊れる場所で
憧れの人とともによしこのを楽しむことこそを、大切にしたいと思っています。
そしてそれこそが、第二の踊り人生を歩み始めた踊り子・蔭川千春のもう一つの阿波踊りでもあるのです。(スタジオ)
本当に演舞場で踊らなくなったことに未練はないのですか?私なんかも四国放送連で踊ったことがありますがあの気持ちよさは病み付きになるのに?
未練があるとか、ないかじゃないけど演舞場で踊る楽しさも知っているし、見る楽しさ、今まで味わえなかった見る楽しみを知ることができた。踊りでの踊る方もいれば見る方もいるように両方の楽しさを自分を実感することができてよかった。
なんだかもったいないような気がします。
「自分の踊りをもっと見てほしい」というような願望はないのですか?見てほしいというのじゃない。好きだから踊っているという、ただそれだけ。
阿波踊りと一言で言ってしまっても踊りにかける情熱は本当にさまざまな形があるものです。
蔭川さん、徳島の誇る文化「よしこのと阿波踊り」はこれからどんな風に育っていってほしいと思われていますか?今現在の阿波踊りはすごく、高度なものを要求されていると思う。私もその中の一人だった。でも「手を挙げて足を運べば阿波踊り」というように誰もが簡単に踊っていけるような(ふところの)大きな阿波踊りに育ってって欲しい。
私の中で阿波踊りは、楽しいときもつらいときもずっと一番身近なものだったので、もう一度この阿波踊りの世界に足を踏み入れることができて、そのきっかけをつくってくださったお鯉さんや、今まで自分を支えてくださったたくさんの方への感謝の気持ちを忘れずに踊ってきましたがこれからは要望があれば踊っていきたいと思います。
どうですか、小田さん。
そろそろ、蔭川さんの踊りを見てみたいと思いませんか?
思ってました思ってました!私(小田美保代)は初めて阿波踊りを見ることになるからとても楽しみです!
それでは蔭川千春さんに踊っていただきましょう。
ご準備をどうぞ。
さて、蔭川さんの憧れでもあるお鯉さんは明日の土曜日(2002/07/20)、から徳島城博物館で開かれる
画家の林鼓浪(はやし・ころう)さんの企画展開催を祝う記念ライブをおこないます。
林鼓浪さんは芸妓時代のお鯉さんに芸事を指導されていた方でお鯉さんとゆかりの深い方です。
この企画展を記念して開かれるお鯉さんのライブに蔭川さんも出演されます。
ライブはあす10時30分からです。
よしこのに魅せられた二人の名人の舞台は素敵でしょうねえ。
それでは準備ができたようですのでお願いします。
お囃子はグループ藍吹雪のみなさん、踊りは蔭川千春さんです。
♪阿波踊り
放送記録 2002/07/19
うちのワンちゃん
なつかしの徳島
けさの生け花
司会者・宗我部は東京地裁取材のため欠席